【人と道具】菊光(鍛冶場)
10数年前に使われなくなった隠岐西ノ島の菊光(鍛冶場)をたずねた。今年は砂鉄の物語で、人と道具をテーマに岡田毅志と取材を重ねている。

今回の話は、旧美田小学校で毎月ひらかれている『わがとこ茶屋』に、隠岐アートトライアル企画の茶話会「本のおはなし」 で訪ねた事がきっかけとなった。『わがとこ茶屋』の中心メンバーである佐倉さんが、菊光さんの娘さんであることを知った。


今回は菊光と鍛冶場の道具を取材する予定だったが、案内して頂いた娘さんでもある佐倉さんの父との思い出に心が打たれた。大切にしていた鍛冶の本と日本刀の図を拝見させて頂いた。

92歳まで鍛治を現役でされていた鍛冶場は、10数年前当時のままであるのだろう。ただ時間だけが忍び寄っていた。いつしか取材は佐倉さんと鍛冶場に変わっていた。当時の思い出に、まるで無音に近い雪のように静かに積み重なっていた。一つ一つの道具には興味は薄れ、まるで一固まりの大地の様にみえて美しかった。

左から岡田毅志 佐倉さん、田島史朗
by satetuno | 2012-08-29 11:16 | 人と道具