「柄にする竹はどこのがいいですかね?」と尋ねるわたしたちに、「これ」と、ちょうどいいのが2本。「あなたたちが必要になると思って用意しとった」と。ううう、恐れ入ります。この竹は隣の海士町(中の島)のものだそうです。「細く、節の間隔が広く、ちょうどいい。日頃から何かのために採って乾かしてある」のだそうです。
まず竹の節を鉈で削ります。同時に虫食いがないか調べます。鉈は竹用の鉈と、隠岐鉈の両方を使います。写真の隠岐鉈は「菊光」の印があります。西ノ島に昔あった鍛冶屋さんです。これは松新さんのお父さんの道具です。
次に竹の反りを正します。炭火であぶりながら少しずつすすめます。これで竹の準備は完了です。
今回は鎌にも一細工します。沖光さんは「わかめ鎌にも2種類あって、これはわかめ専用の細いのだから、竹に刺すだけで簡単に柄がつきます」とおっしゃいました。しかし、ここからは松新流です。万が一抜け落ちるといけないので根本を曲げて”掛かり”をつけました。鉄の加工は田島の得意分野です。
竹に穴をあけ、掛かりの部分をはめ込み、化繊の紐で縛ります。紐の終わりは、ほつれないよう炙って溶かしておきます。
新しいワカメ鎌の完成です。以前のものよりも少し長めです。
# by satetuno | 2012-05-25 10:39 | 人と道具